東西冷戦後の世界的な経済の自由化の波もまた、貧困の格差を作り出している。経済の自由化の嵐が吹き荒れる大海に、経済の「羅針盤」や「地図」も持たない貧困国とそこに住む人びとがあてもなくさ迷う。さらに、経済の自由化から恩恵を得ることのできない国や地域は、完全に沈むことさえも許されない。貧困国は、不公平な「世界ゲーム」のルールにより、負けが決定づけられている試合場に絶えず繰り返し登場せねばならない。強い国はますます強くなり、弱い国はますます弱くなる構図だ。
 ニカラグアの首都マナグア湖畔の広大な敷地には、見渡す限りゴミの平原がある。「ここで働きはじめてもう3年になる。」そう話す少年の顔は油と泥まみれだった。カメラのレンズを通さねば直視できない。

すぐそばには、骨だけになった山羊の跡。頭が潰れた鶏の死骸には羽がべとりとへばりついている。
 ゴミ捨て場全体が自然発火し、白い煙があたり一面に立ちこめる。夕暮れ近くになると、沈みゆく太陽がオレンジ色に輝き、発火した煙に光が反射して、黄金の光景を作り出す。こんな状況を見て、どうして美しさを感じるんだ。

   


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