「過去50年の間には、その前の500年間よりも貧困は減っている」。そう国連開発計画の報告書(1997年度版)はいう。だが、一方で、貧富の差は確実に広がっている。1960年には最貧困層の20%の人々は、世界経済全体の2.3%の所得を占めていた。現在その所得の占める割合は1.1%にまで減少している。現在、世界の経済規模は25兆米ドルに達するが、最富裕と最貧困層の割合は、1960年の30対1から、1994年には78対1に広がっている。世界の10大富豪の富の総計は1330億米ドルにも達する。彼らの資産は開発途上国の総歳入の1.5倍にもなる。人々を貧困から救い出すのに必要なお金は約800億米ドル。すなわち、世界経済の0.5%・・・それは世界の7大富豪の資産、あるいは
1995年の世界の軍事費の10%とほぼ同額である。
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数字を並べ「人々は豊かになってきている」、そう判断するのも一つの見方だ。地域間の数字を比較し、「だから中米はアジアより豊かだ、アフリカは旧東欧圏よりも貧しい」と指摘するのもいいだろう。でも、何かが違うんだな。そこには、汗も臭いも感じない一つの側面しかない。
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