カメラのシャッターを切っていた私は、撮影をやめ、振り返った。
「本当か。本当にそう言ったのか。」
沈んだ気持ちが怒りに取って代わった。
「本当だ。撃ち殺してやれと言ったんだ。」
タイ・ビルマ国境で活動する医療NGO(非政府組織)の病院に、こっそり入れてくれた友人は答えた。
私の目の前には、両手と両目を地雷で失ったカレン人、 P(32歳)が横たわっている。最初、彼の姿を見て、思わず身を引いた。彼の両側のベッドには、同じように地雷で片足を失ったカレン人が収容されている。ここで弱気になったらだめだ。
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気を引き締め、カメラには敢えて超広角レンズをつけて撮影を続けた。
ファインダーいっぱいに広がるPのつぶれた目からは、涙が流れているようにも見える。暑さと体の発する熱で苦しいのか、Pはときどきうめきながら体の位置を変える。
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