場面が変わり、韓国内の犯罪を摘発するニュースになった。
「日本に比べて韓国は、悪いヤツが多いよ。日本の戦前は、人情があって本当によかったよ。今の韓国の人は、カネ、カネのことばっかり。若い人もろくなヤツがいない。」。
おばあさんの口から、日本を誉め、韓国を悪くいう状況なんて想像もしていなかった。さらに、裵さんは、韓国の悪口を続けた。さすがに気分が良くなかった。
「そんなん、どこの国でも同じやろ。韓国にも日本にも、いい人もいれば、悪い人もおるんやし」。ちょっとつっけんどんに言い返し、一緒にテレビを見るのをやめ、その場を離れた。
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その夜、自分の部屋で、持ってきた資料に目を通していた。慧眞著(ヘ=ジン)・徐勝(ソ=スン)/金京子(キム=キョンジャ)訳『ナヌムの家のハルモニたち』(人文書院)を一番最初に読む。「ナヌムの家」に住むおばあさんたちそれぞれの、簡単な生い立ちが記されてあった。 |