パヤタスの「スモーキーバレー」に足を踏み入れるとすぐ、汗だくになって、ごみの中で働く子供たちの撮影にとりかかった。彼ら・彼女たちには罪はない。なのに、なぜこういう生活を強いられているのか。この現状をなんとか記録して、伝えねば。そういう、今思うと傲慢な、極めて第三者的な思い込みでカメラを握っていた。しかし、心の奥底では、「現実は何も変わらない。それが今の社会の世界だ」。そう打ちのめされてもいた。正直なところ、次第にシャッターを切るのも億劫になっていた。それでも写真を撮り続けていたのは、どんなことがあれ、自分の感情の起伏だけで、記録する、伝える、という仕事を放棄してはならない、そんな思いからだった。
|
|
悶々としながらシャッターを切っていたときに出会ったのが、カティーボさん(61歳)だった(前々号参照)。私は、カティーボさんの笑顔に魅せられてしまった。
|