Nさんの持っている本をいくつか見せてもらった。偶然その中に、高岩仁さんというフリーの記録映画監督が書いた『戦争案内』というブックレットを見つけた。そのブックレットには、監督がどういう視点でフィリピンのごみ捨て場を捉えているか、気になる記述があった。
 「上の写真(注:ブックレットには撮影風景の写真がある)はフィリピン、マニラのごみ捨て場で生活している人々を撮影するスタッフです。この現象を撮影して、『ここで生活して生きている。そして、その中で暮らしている子供達の目が輝いている』というような捕らえ方で作品をまとめると、日本のマスコミは安心してこの映画を大きく報道します。そして、それがうまく出来ていれば、国内外の数々の賞をとって有名になり、

制作費の回収も簡単になります。しかし、『このように貧しい人が存在するのは、日本や、アメリカ企業が環境を破壊し、土地を取り上げ、人権を無視して安い賃金で仕事をさせ、莫大な利益を上げ、しかもその状態を維持するために、暴力を使っています(これこそが真実です)』と作品で描くと、マスコミはその作品を正確には紹介出来なくなります」と。

 カティーボさんの生い立ちが聞きたくて、おばあさんの家に行ってみることにした。旧パヤタスのごみ捨て場から10mくらいの所に建つ薄暗い家だった。12年間、ここに住み、ずっと働き続けている。

   


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