写真を撮るというのは、最初は物まねである。自分がこれまで何かを感じ、頭の中に残像として残っているイメージを単純にフィルムに再現するだけである。
 写真は全く素人だった.。だからこそ、これまですり込まれてきた、印象深い、いわゆる見栄えのある写真、絵になる写真をだけを無意識的に追い求めていた。
私に写真とは何かを教えてくれたディビッド・Aは、写真講座の中で言ったことがある。
「私のできることは、いい写真の撮り方でもなく、独創的な作品をとなる写真の撮り方でもない。あくまでも各個人が、『これこそが自分のオリジナリティだ』と自信を持って言える、そういう考え方や写真の撮り方のヒントを見つける手助けをすることだけである。時には、ヒントさえ教えることさえできないんだよ。」
 彼の言う意味が最初、


よく分からなかった。しかし、次第に彼の写真の授業を受けるうちに彼のいわんとすることが分かり始めた。デイビッド自身は、カラー写真が当たり前の今の時代、白黒写真にこだわっている。彼の写真術はとことん考えさせる写真だった。単純に感覚的に「いいから」という説明は受け付けてくれなかった。

   


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