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フォトジャーナリスト宇田有三氏による衝撃ルポ

On The Road by.Yuzo Uda
Vol.191/2013/12

「地道な『国民の知る権利』の行使」



自らの冤罪事件を語る桜井昌司さん”

検察によって隠されていた内部資料を手に、自らの冤罪事件を語る桜井昌司さん(2013年8月)。

 前回は、「抗いの彷徨(1)」というタイトルで個人史っぽい内容を書き始めていたのだが、今回は急遽、話題を変えざるを得なくなった。というのも、日本で12月7日(土)に成立した「特定秘密保護法」に関して思うところを今、書いておくべきだと思ったからだ。
 この法律は表向き、「国家機密の漏洩に厳罰化を科す」目的で制定されたものである。だが、この法案の成立背景や過程などには問題が多すぎて、メディアだけでなく、学者や芸術家など、凡そ表現活動に関わる多くの人が反対の声を土壇場になって上げるようになった。衆議院や参議院の法案可決前、国会を取り巻いて、いや全国規模で法案反対のデモが湧き起こる。
 遡ること10日前、法案が衆議院を通過した翌日、『毎日新聞』は社説を紙面の一面に掲げ、「民主主義の土台を壊すな」という見出しでこの法案を論じている。その最後の部分を引用してみよう。


 情報を知ろうとする国民が処罰されるような強い副作用を覚悟の上で、新たな法律を今作る必要が本当にあるのか。  「知る権利」に対する十分な保障がなく、秘密をチェックする仕組みが確立されていないなど問題点や疑問はふくらむばかりだ。


 また、法案成立後、『朝日新聞』は、「知る権利支える報道続けます」(杉浦信之、2013年12月8日)という見出しで次のように書いている。