Vol.172/2012/5
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「ナヌムの家」を訪れる訪問客に、満面の笑みで応える李玉善(イ・オクソン)ハルモニ。 |
曇り、時々、しぐれ空。厚手のジャケットを手放せない冬の朝だった。
この日、韓国ソウルの日本大使館前は喧噪に満ちていた。そう、2011年12月14日の「水曜日」は特別な日であった。ハルモニ(韓国語で「おばあさん」の意)たちが1992年1月8日の水曜日から、日本政府に対して公式の謝罪と賠償を求めて日本大使館前で続けていた抗議の「水曜集会」が、1,000回目を迎えるからだ。
このハルモニたちは、いわゆる元日本軍強制従軍「慰安婦」である。本来韓国では、在外大使館の周辺100メートル以内の集会やデモは禁止されているはず。だが、この「水曜集会」だけは例外的に黙認されている。それだけ、この「慰安婦」の問題が、日韓関係において、微妙な問題であることを証明している。
歴史問題から見ると韓国は日本にとって近くて遠い国である。「アジア・太平洋戦争」を振り返ると、この「慰安婦」問題は、日韓の間に突き刺さった棘ともいえる。
「水曜集会」を主催しているのは、ハルモニを支援している女性・市民・労働・学生・宗教団体を中心にした「韓国挺身隊問題対策協議会(「挺対協」)」である。
「水曜集会」はこの20年間以上、メディアに注目されようがされまいが、ずっと続けられてきた。そして1,000回目を迎えた今回、やはり大きく注目されることになった。