海外の安宿に泊まる利点の1つに、日本では絶対に自分では買わない類の本を、大体は宿の受付の横に拵えた本棚で見つけることである。そんな本の中で多いのは、東南アジアをどれほど安く貧乏旅行して、いかに多くのトラブルに出会ったのかを、自分勝手な視点で書き綴っているものである(そういう体験本があっても別段構わないが、どういうわけか安宿に残されている本とは、なぜかそういう類のものが多い)。
今月の取材で逗留した定宿でも、やはり一冊の文庫本を見つけた。目次を見るとビルマ(ミャンマー)での記述がある。早速、ページを捲ってみた。
停電だ。発電機があるのに、この安ホテルが、けちってるな。 そう独り言をいいながら、窓を開ける。数週間もすれば日本に戻れるんだから。