技術の進歩のおかげでインターネットが華やかに喧伝されている。押さえ込まれていた人たちが自らの力でその状況を発表し始めている。しかし、まだ、その力は少数派だ。ことはそう簡単に運ばないのが現実でもある。
ひとりの人間を撮る。そのひとりの向こう側に数え切れない人がいる。そういう想像力のある写真を撮りたい。一つの悲しみの向こう側に、胸張り裂けんばかりの悲しみがある。一つの叫び声の向こう側に、慟哭のような怒りがある。そういうことを、写真で表現してみたい。
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だからこそ、戦争の原点である前線へ行く。貧困の原点であるゴミ捨て場へ行く。私が何かを感じる原点である現場へ行くのだ。そこには、明日を信じ、その日を精一杯生きている、輝く人間がいる。社会的には悲惨な状況でも、それでも生きている人たちがいる。そんな人間を撮りたいのでである。
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