写真を撮る現場に立つと、事実を伝えたいという使命が私の背中を押す。事実を記録したいという思いが強くなる。現場に出ずに頭でっかちなヤツほどすぐに、「じゃあ、事実とはなんだ」と言いたがる。私はそう言うヤツには耳を貸さない。誤魔化しのためにたえず事象を相対化しようとする。
現場に立つということは、時代を記録しているということだと肝に銘じておきたい。時代の表現者だという気概も持っていたい。取材に入る前に、すでに頭の中で撮影場面を完結させるようなことは避けておきたい。現場に行けば行くほど、期待は裏切られ、新しい発見がある。それだからこそ、それを伝えたいという意識が強くなり、記録しておかなければならないという使命感が出てくるのだ。そこで誌面作りに、写真編集者のアドバイスがあればなあ、と思う。撮影者は時に、いや度々、独りよがりになりがちだからである。
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米国・公民権運動のきっかけの1つをつくったローザ・パークス。2005年92歳で亡くなるまで、人生の多くを黒人の社会的・経済的地位を向上させるために捧げた。 |
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