バブルもはじけたころにこの仕事に就いた私は、いまの状況 ─ なかなか発表の場が確保されない−が当たり前だと思っていた。そう分かっていても、それでも今や、写真を発表する雑誌の状況はますます悪くなっている。

 写真を学び始めて今年で10年、フォトジャーナリストとして仕事を始めて9年目の37歳の私が何を言えるのか。
 ユージン・スミス、ロバート・フランク、土門拳、岡村昭彦、吉田ルイ子、長倉洋海、大石芳野、樋口健二、石川文洋、その他、本棚にある写真家の本を読み直した。さらに、ビデオに録画していた沢田教一やロバート・キャパ、一ノ瀬泰造などの写真家についてのドキュメンタリーを見直した。今も昔も、報道写真家。特にフリーの報道写真家は大変だった。今だけの状況ではないのだ。
 写真を取り巻く、時代や社会状況は変わろうとも、撮す対象は目の前にある。記録すべき対象は目の前にある。
  私の尊敬するフォトジャーナリストの一人、セバスチャン・サルガド氏は言う。
 「ジャーナリズムが存在する限り、フォトジャーナリズムも存在し続ける」と。
 写真は、写しとられたイメージに説得力がある限り、何かを伝える道具の役割を持ち続けるということだ。ジャーナリストとして、写真だけに固執するには失格かも知れない。

   


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