Vol..129/2008/10
「誰が貧乏くじを引くか」

 8月初め、ビルマ(ミャンマー)に戻る。日本に帰国中だった5月に発生したサイクロン・ナルギスの被害は、一見したところ、同国最大の都市ラングーン(ヤンゴン)ではほぼ感じられない。それにしても、最大の被災地であるデルタ地帯での被害の復興は進んでいるのだろうか。
 軍事政権国家であるビルマに滞在するとき、いつも気を遣う。外国人として目立たないように注意を払う必要がある。観光客の姿がちらほらする下町の外れに宿をとることが多いが、その間、ずっとホテル住まいとなるため食事はいつも外食だ。私がよく通っている食堂や屋台では、例えば、2003年では焼きめしが600K(Kyat=チャット:1K=約0.1円−実勢<市場>レート)だったのが、2007年には1,200K、今年は1,500Kにまで値上がっていた。これじゃあ、隣国タイ・バンコクよりも高くなっている。
 「これまで800Kだったお米の値段が1,900Kまで値上がった。もうなんとかやりくりするのが精一杯だよ」
 子どもが1人いる夫婦3人家族の知人はそうこぼす。生活苦に対する不平不満は、増えることはあっても減ることはない。

 
汚れたお札の例を出すまでもなく、誰もが多くのお金、綺麗な紙幣を手に入れたいと思っている。だが、数に限りのある新札を手に入れるのもまた限りがある。ふと自分の財布をのぞいてみる。

 


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