Vol..128/2008/9
「地域をつなげる国境線・時代を分かつ国境線」

 1ヶ月ほど前のこと。タイ・バンコクのビルマ(ミャンマー)大使館で、ビルマ入りのビザ申請をする。その日の朝、8時過ぎにビルマ大使館に着くと、すでに2〜3人の順番待ちの列ができていた。私のすぐ後ろに並んだのは、上下共に白装束のインドの人であった。ヒンズー教の人かな。両手にはスーパーのプラスチック袋を大仰に抱えている。袋の中には、どうやら生活道具一式が入っているようだ。パッと見た目には路上生活者か、或いは修行者のようでもあった。お世辞にも観光でビルマに行くような感じではなかった。もしかして、アルバイトとして代理でビザ申請をしているのかな?そんな印象だった。
 予想通り、ビザ申請の窓口は9時を15分過ぎて、やっと開く。受付時間から10分を過ぎた頃から、欧米のビザ申請者は、どうなってんだ、という声を上げ始めていた頃だ。そんなことではこれからビルマには入れないよ。何せ時間の流れ方が違うんだから。
 手持ちぶさたであった私は、白装束の修行者氏と言葉を交わすこととなった。インド人特有の強い“r”訛りの返事が戻ってくる。
 「いいかい、自分の持ち物には充分に気をつけるんだよ」
 大使館の中でさえ、他人は全く信頼できないという感じだ。キョロキョロしながら、ちょっと落ち着かない修行者だ。ひょいと彼の申請用紙をのぞき込んでみると、彼は代理の申請者ではなく、彼自身がビザの申請者であった。

 
中米グアテマラの首都グアテマラシティーの中心街。高架のコンクリートに描かれた "509 anos de resistencia"(「509年間の抵抗」)の文字。スペインによるマヤ文明の征服・植民化の影響は今も続いている。

 


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