Vol..127/2008/8
「現地に入る意味」

 バンコクポストは、ブッシュ大統領が「ビルマの『圧政に終結を求める』ことを誓う」との声明を真っ先に載せていた。タイと米国の友好175周年の祝福よりも隣国ビルマ(ミャンマー)を非難する記事を冒頭にあげていたのには、さすがに驚いた。ブッシュ大統領による今回のアジア歴訪は、韓国とタイを回り、最後の目的地は中国であった。そう、北京オリンピックの開会式の終結で、ブッシュ氏のアジア関与は幕を閉じるということだ。
 部屋に戻ってテレビをつけ、CNNにチャンネルを合わせてみる。想像通り、ブッシュ大統領のアジア訪問がニュースのトップだった。だが、ポストの記事とは異なり、ブッシュ大統領が中国の人権問題をやり玉に挙げている話題が最初にあげられ、ビルマの問題は、申し訳程度に報じられただけだった。新聞とテレビでは、ブッシュ氏のアジア訪問の意味合いに違いがあるようだった。もっとも、ブッシュ大統領のビルマ関与は、ファーストレディであるローラ・ブッシュ氏の影響が大きいといわれている。これまで度々失言を繰り返してきたブッシュ大統領だ、国際問題は不得意というのが丸分かり。ビルマに関しても、ノーベル平和賞受賞者の「アウンサン・スーチー」という名前を「アウンスー・サンチー」と読んだこともある。ローラ・ブッシュ氏は今回のアジア訪問で、わざわざタイとビルマの国境地域にあるビルマ人(カレン人)難民キャンプを訪問している。彼女は、ブッシュ氏よりもビルマ問題により深く関わろうとしている様子がうかがえる。

 
タイの観光地から目と鼻の先にあるビルマ側の僧院。その僧院には300人もの孤児が身を寄せ合って暮らす。子どもたちは、決してメディアでは取り上げられることのない存在である。僧院の中の学校で、比丘尼の子が声を上げて勉強を続ける。

 

   


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