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[最終節] 石田 博行

レンタル移籍にてマレーシアのチームでプレーすることが決まり、自身4カ国目の外国人選手となった石田は、以前こんなことも話していた。「チームを後にする時、特に外国人選手はそのまま何もかもホッポリ出して帰ってしまう選手がいる。生活に掛かった費用もそのまま支払いもせずに。でも、それは人間としてやってはいけないこと」と話していた石田。賃貸していた住いを引き払う時、最後に立ち会ったが、石田の性格がそのまま現れていたように思えた。全てが綺麗に整頓され、多少の生活用品や簡易家具もそのままに残されていた。「次に入った人に使ってもらえれば…」とひとこと言い残して、鍵を掛けた。石田は外国人選手として、クラブ側から滞在先が支給されていたため、賃貸先の名義がクラブとなっている。翌日、石田から預かったその鍵をパースグローリーのオフィスに返しに行ったが、オフィスの職員は一様にガッカリした表情で、石田のその移籍について「This is good for him」と自分を納得させるように言っていた。

前号の「信仰とサッカー」でも少し触れたが、石田は創価学会員として祈り続け、自分の中に潜む強さを引き出してきた。その強さで結果、つまり勝負への勝利を導き出してきた。「俺にとって信仰が全てである」とまで話す石田。今回のヴァンフォーレ甲府への移籍についても、この信仰のおかげだと話していた。信仰を語る時の石田は、いつも曖昧を嫌う、惰性を排除した目をこちらに向けていた。