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 「おまえ達?」僕には言葉の意味がよくわかりませんでした。
  「いいってことよMORIO、達者でな。」
  チャーリーは静かに微笑んでから救急車の中に運ばれて行きました。
 「急所は外れているって警察の人が話していたわ。」
 耳元でそうささやく声に振り返ると、肩を振るわせながらMADISONが立っていました。
 「MADDIE・・・」
 「おい、おまえ達、中に入っちゃいかんと言っただろうが。」
 また、さっきの警察官の声が聞こえましたが、もう気になりませんでした。パトロールカーと立ち入り禁止テープの間の窮屈な地面の上が、僕達の聖域でした。MADISONと僕はそこでまわりの一切をどこか遠くに放り投げたまま、静かに抱擁を繰り返しました。そして見つめる彼女の瞳から、全てが終わったことを知ったのでした。

  「僕は何もしていない。」
  「いいえMORIO、あなたが全てを動かしたのよ。」
 
銀色のビニールに包まれた担架が運び出されてきました。ついにジェザとは口をきく機会もありませんでした。担ぎ上げられた担架がさっきと同じように方向を変えようとしていました。その時、銀色のビニールの包みから突然ベルの音が鳴り始めました。
  「ポケットにモーバイルがまだ入ったままのようですが?」
 振り返る救急隊員に、居合せた刑事が答えました。
  「気にしないで下さい。検死所で取り出しますから。」
  これがジェザからの最後のメッセージでした。

 表のTAXIは、案内板の前でちょうどUターンをし始めたところでした。 「行こう、MADDIE。」