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  部屋の空気が急に変わったのを確かめるようにタバコに火をつけたチャーリーは、バーカウンターに戻っていきました。
 その晩、12時過ぎに帰ったチャーリーと入れ替わるようにレセプションのドロシーが休憩室に顔を出しました。
  僕もホールにいたお客さんがみんな部屋に入ってしまったので、とりあえず“終わるまで”やることがなくなってしまい、一人でぼんやりしていたところでした。
  「MORIO、元気?」
  マグカップにティーバッグを落としながらドロシーが話しかけてきました。
  「ええ、なんとかやってます。」
  「あんまり無理しちゃ駄目よ。」
 彼女が僕の隣に座りなおすのを待って、僕は夕方からずっと考えていたことをドロシーに聞いてみることにしました。

  「ドロシー、もしよかったら教えて欲しいんだけれども、チャーリーはいつからここで働いているの?」
  「確か、あなたが来る少し前からよ。」 メンソールのタバコに火をつけながら彼女が答えました。
  「それミミと同じだね。」
  メンソールのタバコのことを言ったつもりだったのですが、僕はドロシーの表情が一瞬こわばったのを見逃しませんでした。
  「いいえ、ミミの方が少し早かったはずよ。」
  ドロシーは考えても見なかったことを口にしました。彼女のその答えから、僕はとっさにチャーリーとミミは何か関係があるのかもしれないと思いました。
  「ミミがいなくなって寂しい?」
  「ええ、寂しいわ。」