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 やっぱり仕事に行くのは止めにした方がいいかなと思い始めていると、急いで涙をぬぐったMADISONが「ごめんね、MORIO。一人にしろって言ったり、早く帰って来いって言ったりメチャクチャで」と言いながら泣き笑いを始めました。
  「何かあったらここにいるから、きっと連絡するんだよ。」
 僕はキャシーズの電話番号をドアの内側に画鋲で止めると、少しの間MADISONと口づけを繰り返してからバチェラーユニットの階段をかけ降りて行きました。
 表に出てみると、目隠しをした部屋の中に何日もこもっていたおかげで、周りの全てがとても新鮮に感じられました。

 

 「今度、あの国立公園につれて行ってあげよう。」
  僕は、理由も無くこみ上げてくる喜びに思わずつまずきそうになりながら、駅までの道を急ぎました。
 駅までの決して短くない道のりも、駅で地下鉄の来るのを待つ間も、そしてドアの壊れた車両のすぐ向こうを矢のように通りすぎるトンネルの壁を目で追っている間も、僕はずっと幸せでした。

 僕にとってMADISONはドラッグそのものでした。いきなり深い谷があり、いきなり高い頂きがあるのでした。そしてその2つの対極の間には、何のつながりもありませんでした。