MADISONが残してくれたメッセージは、僕を奮い立たせるのに充分でした。
ほんとうはすぐにでも彼女に会いたかったのですが、その前にミミに聞いておきたいことがあった僕は、目が覚めるとすぐに表の公衆電話から連絡を取り、2時に王立植物園のレストランで落ち会う約束をしたのでした。
部屋に戻って時計を見ると、12時半を過ぎたところでした。僕はシャワーを浴びて、歯を磨いてからシャツにアイロンをかけ、部屋を出ました。
いったん表に出たものの何かを感じて引き返すと、“カギは郵便受けの中に置いておきます”と書いたメモを昨日のMADISONのメッセージと同じ場所に残して、郵便受けのチラシの下にカギを隠してから、王立植物園に向かいました。
王立植物園のレストランは、昼食時を過ぎた平日ということもあってか、
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人影もまばらでした。昼過ぎから曇り始めた空模様にうしろを押されるように、まだ少し冬の冷たさの残る潮風が, 開いたままのベランダの入り口から、部屋の中に流れ込んでいました。
ただ時間を潰しているつもりでいた僕は、暖炉の脇に腰掛けて手をかざしながら、汗ばみ始めた体の前半分と、少し悪寒を感じる体の後ろ半分とを比べて、その両方が自分の体を形作っている不思議さを感じないわけにはいきませんでした。
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