途中でウエイターがグラスワインを持ってきた間を除いて、彼女はそのことについてずっとしゃべっていました。もともと、学者肌のミミには縫い目のアイディアがとても新鮮に映ったらしく、フランスに帰ったら彼女自身が始めてみてもいいか?と何回も念を押すように聞いてくるのでした。
「もちろん、かまわないよ」と答えると「そう言ってくれると思ってたわ。この運動は一人でも多くの人に参加してもらわなくちゃね。そのためにわたしもこれから、ひと肌でもふた肌でも脱ぐつもりでいるのだから」と言って笑いました。
ミミはこの縫い目を世界平和につながる運動としてとらえていて、やがてはヨーロッパ中に広げていきたいと言って、目を輝かせました。 「ミミ、もうキャシーズは終わったんだから、脱ぐ必要なんてないんだよ」とからかうと、
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急にまじめな顔に戻って「MORIO、あなたみたいなアーテイストといっしょに仕事が出来て本当にラッキーだったわ」とまるでチャンネル17のコメンテーターのような大げさなことを言いながら僕を見つめ返してきました。
料理が運ばれてきました。
ミミは、薄切りオニオンにケーパーを添えた北の珊瑚海で取れる白身魚のフライを、僕は豆腐ステーキのオープンバーガーを注文していました。
「ところでMORIO、チャーリーから聞いたわよ。」
白身のバルマンディにナイフを入れながら、ミミが続けました。
「あなた、ずいぶん背伸びしているみたいだって、彼心配していたわよ。」
「そのことなんだけれども、ミミ、もし迷惑じゃなかったらジェザについて話してくれないかな?」
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