だまして聞き出すようなことをしてしまってチャーリーには悪いと思いましたが、これである程度、敵の輪郭が見えてきた気がしました。

 明け方、仕事を終えて部屋に戻るとドアの隙間に紙切れが挟んでありました。靴を脱いでキッチンに入りお湯を沸かしながらイスに座って紙切れを開くと、10桁の数字が並んでいました。
 たぶん、モバイルのナンバーに違いないと思いながら数字の下を目で追うと、

濃い赤の口紅で書かれた“YOUR M”という文字とそれに添えて彼女のキスマークが残っていました。

 “あなたのM”
 僕は口の中で何回も呪文のようにその言葉を繰り返してから、煮え立ったままのお湯のことも忘れて立ちあがると、まだ顔も知らないジェザに向かってつぶやいたのでした。
 「ようし、ここからはこっちが攻める番だ。」

つづく

   


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