「この世界って?」
「マッサージパーラーとか、エスコートサービスのことよ。」
「たった2人しかいないの?」
「まあ、もとはひとつみたいなもんだからな。」
「なあ、チャーリー、もしよかったら僕にも紹介してくれないかな?」
「MORIO、おまえまさか、例の姉ちゃんにドラッグをプレゼントするなんて言い出すんじゃねえだろうな?」
「そんなんじゃないんだ。秘密は守るよ。名前だけでもいいんだ、頼むよ。」
チャーリーはゆっくり舌をなめてから、コースターの裏に2人の男の名前を書きこんでいきました。
「いいか、おれが教えたなんて口が裂けても言うんじゃねえぞ。」
|
|
僕は、チャーリーの目をまっすぐに見てからうなずくと、「それで、若い方の奴はこっちだっけ?」とかまをかけながら、ジェザと書かれた名前の上を指差しました。
「なんだ、おまえジェザのこと知ってたのか。」
息をつめて答えを待つ僕の気持ちも知らずにチャーリーは立ちあがりながらそうつぶやきました。
「確かキングスクロスに住んでたよね?」僕が追いかけるようにたずねると、チャーリーは急いで口に人差し指を当ててから、「そこまで知っているのならあとは簡単じゃねえか」と言い残してバーカウンターに戻って行きました。
チャーリーの後ろ姿を目で追いながら、思った通りだと思いました。
|