「ねえ、MORIO、これから出かけない?」
 「出かけるって、何処へ?」
 「この部屋、ほんとうに何もないんだから。とりあえず冷蔵庫の中ぐらいはいっぱいにしておきたいの。」
 「でも、僕、もうすぐ帰るんだよ。」
 「帰る?」
 「日本にだよ。」
 「いつよ?」
 「君と会うまでは、あと1週間で帰ろうと思っていた。」
 「それで、今もそう思っているの?」
 「いや、そんなこと、もうどうでもいいんだ。」

 「ばかみたい。なんで朝からどうでもいいことなんかで悩んでいるの? それとも私がいたんじゃ迷惑なのかしら?」
 
「いや、逆にこっちがそれを聞きたいぐらいだよ。こんなヤクザみたいな男と一緒で迷惑じゃないのかと思って。」
 「ヤクザとコールガールのカップルなら、お互いさまなんじゃない?」
 「へんなジョーダン言うの、止めてくれよ。」
 MADISONの笑い声に背中を押されるように、僕は急いでベッドから飛び降りると、顔を洗って歯を磨いて、段ボ−ル箱から服を引っ張り出して、身に着けました。

   


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