僕は胸の中で、つぶやきました。ドロシー、僕にしたって、よく考えてみればそういう連中と合わないから、そういう連中と同じに見られるのが辛いから、こうしてワーホリでこっちに来ているんだよ。それに、ついでだから言っちゃうと、日本でどんなに偉かったのか知らないけれども、今は引退してこっちでのんびり暮らしてる‘スゴロクのアガリ状態’の永住者達も、明治時代にハワイやブラジルに入植した人たちとは全然違って、家三つ持ってますとか、結局自分のことしか考えてないような気がして、決して好きになれない人たちなんだ。でも、その人達がうちのお店のお得意さんなわけだから、あんまり悪口は言わないようにしているのだけれども。
僕はドロシーの目を見ながら、答えました。「わかったよ。必ずアイコンタクトするようにする。」
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ドロシーは納得した様子で、白い歯を見せて、笑いながらカウンターに戻って行きました。
「アイコンタクトするってことは、要するに聞いてきてるわけ、俺でもいいですかって。そういうマナーってどんな時にも、ほら、こんなところでもやっぱり大事じゃない?」と
ミミが話に割って入ってきました。
「MORIO、ついでだからいいこと教えてあげるけど、SEXはね、胸やお尻から始めるものじゃないの。SEXはね、目で始めるものなのよ。」「SEXは目で始めるなんて、誰からも聞いたことないよ。」「でしょ。だからMORIOには、ちゃんとわかってもらいたかったのよ。ところで、あなたが話してくれたMAKIさんとの場合はどうだったの?
あなたたちだって当然、アイコンタクトして‘ズッ’って感じで火花が飛び散ってからSEXしたんでしょう?」
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