僕が、オーナーからのレターを見せると店の奥に連れて行かれて、そこのイスに座って待っているようにと言い残し、さっきの日に焼けたおばさん(ドロシ−といってとても良い人です)はもといたカウンタ−の方に帰っていきました。10分くらいイスに座って目の前のテ−ブルに置かれた雑誌の表紙の文字を目で追っていると、急に入り口のドアが開いて背の高い女の人が入ってきました。彼女は、ハンドバッグからオイルを取り出すと僕の目の前で、胸の谷間に擦り込みました。そして急いで鏡に向かって口紅を引き直してから「ハロー 、ダーリン」と僕に笑いかけてゆっくりとドアを開けなおすと、

ホ−ルの方に戻っていきました(彼女はミミといってフランス人で、元小学校の先生だと言っていました)。あとでわかったのですが、僕のいたところは彼女たちの休憩室になっていて、お客さんを送ってから化粧直しに入ってくる場所だったのです。
 そして僕がそこで最初に任された仕事は、お客さんの使ったバスタオルやシーツを集めて、洗濯機に放り込むことと、スパバスやシャワーのまわりのガラスに残った指紋などの汚れをスポンジを使って洗い落とすこと、それにごみ箱に捨てられたコンドームが固くなってごみ箱の壁にへばりついてしまわないうちに、中をきれいにすることでした。

今城さん、お腹が空いたので今日はこのへんにします。

 


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