野営地での父の役目は次第になくなっていった。6ヶ月もするとマーガレットリバーの店がここにも巡回してくれるようになり、時折行商人もやってくるようになった。また、BairdsやBoansといった年間カタログで簡単には手に入らないものが注文できたりもした。これで父の役目は終わりつつあったが、しかし冬が終わるまでは週2回、買い出しのためマーガレットリバーまでの20キロの道のりを往復しなければならなかった。冬の間は、小川の湿地に馬車がはまってしまうことがあった。そこから馬車を引き上げることはとても大変なことで、稀に半キロほどの寂しげな道のりを歩いて、近隣に住む人の助けを求めに行ったこともあった。
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人々は元気な馬を連れてきて、疲れきった馬と交代してくれた。嫌な顔ひとつせずに快く、手伝ってくれる姿に心が温まる思いがした。口にこそ出さないが、何かの折に受けた援助へのお返しといった感謝の気持ちからなのかもしれない。これがあの時代の気風であった。
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