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明日は来る It wasn't my day today, but tomorrow will come.
Vol.176/2012/9

第5回「プレースタイル」


言葉


 9月5日、オーストラリアのプロサッカーリーグ(Aリーグ)でパースに本拠地を置くパース・グローリーと、Inglewood Unitedは練習試合を行なった。パース・グローリーにとっては、10月から始まるシーズンに向けての調整試合に過ぎなかったかもしれないが、山田にとっては、自己アピールの場として最大のチャンスであった。なぜなら、山田の渡豪の目的は、オーストラリアのプロリーグのチームと契約をするためだからだ。

 山田は、強い雨が降り続くスタジアムで、前半はベンチで戦況をうかがった。そして、後半10分が過ぎた時、最初の交代選手としてピッチに立った。
 誰しも考えることだが、もし試合中に目立ったプレーでパース・グローリーの首脳陣の目に留まるようなことがあれば、プロリーグへの門戸が開くかもしれない、と。そのためには、『全=チーム』よりも『個』を優先させることも頭を過ぎるだろう。“自分さえ”の思いが出てくるはずだ。
 しかし、試合終了のホイッスルの後、雨と汗でびっしょり濡れる顔を拭いながらピッチから出て来た山田は一言、「チームのバランスが良くなかったですね」と、ここでも『チーム』についてのコメントを残した。

 22試合のリーグ戦が終了した。
シャワーを浴び、ドレッシングルームから出てきた山田は、「チームが勝たなければ、個人は注目されない。とにかく、試合に勝つことです」と話し、「プレーオフで優勝します。優勝しないと、自分には先がないですから」と自分に言い聞かせるように語った。




山田 孝次(Koji Yamada)
1981年12月22日生まれ。東京都町田市出身。2003年にルーマニアの1部チームとプロ契約を交わし、2006年に日本帰国後、ジェフユナイテッド市原・千葉アマチュアチーム(現ジェフユナイテッド市原・千葉リザーブズ)、FC琉球、カマタマーレ讃岐、エリース東京FCでプレー。2010年からはFCコラソン・プリンシパルに在籍していた。右利き、身長178㎝、体重68㎏。


今城 康雄
2005年のオーストラリア・プロサッカーリーグ、Aリーグの開幕以来、Aリーグ公式メディアとして取材を重ね、パース・グローリーのホームゲームでは同じく2005年の開幕戦から現在に至るまで記者席よりリポートを届けている。