第2回「挑戦」
山田孝次が所属するInglewood Unitedは、国内では2部相当のリーグに所属する、セミプロのサッカーチームだ。そのInglewood Unitedが3月22日、2012年のシーズン開幕を前にクラブの壮行会を開いた。その会で山田は、Aリーグ（国内1部）のパース・グローリーの監督、Ian Ferguson氏と挨拶を交わし「今のクラブでがんばれば、きっと誰かが観ている。上（Aリーグ）にあがれるチャンスはある」との言葉をもらう。前号で言及した、パース・グローリーのチーム関係者の知人は、当初監督に山田について話を通していたようだ。
Inglewood Unitedへの練習参加が許された週の週末の3月10日、山田はチーム関係者から「練習試合があるので、顔を出さないか」といった誘いを受けた。トップチーム（一軍）ではなく、リザーブチーム（二軍）の試合だったが、スターティング・メンバーに名を連ねた。そして、直ぐに結果を出す。コーナーキックからのボールを頭で合わせ、得点を奪ったのだ。練習試合とは言えども、オーストラリアでの記念すべき得点第1号となった。この1点は、チーム関係者に少なからず、山田のポテンシャルを見せつけたことになった。
