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フォトジャーナリスト宇田有三氏による衝撃ルポ

On The Road by.Yuzo Uda
Vol.180/2013/01

「ビルマ(ミャンマー)の「ロヒンジャ問題」を手がかりにして(5)」


街の中では路上の電話屋が姿を消しつつある(ヤンゴン、2007年)

携帯電話の普及率が1%ほどだが、政治的な改革によって通信の自由も緩和され、街の中では路上の電話屋が姿を消しつつある(ヤンゴン、2007年)。


「〈ビルマ〉と〈ミャンマー〉 から〈ビルマ〉か〈ミャンマー〉か」へ(B)

◆新政権の態度 ─ 〈ビルマ〉と呼ぶか〈ミャンマー〉と呼ぶか

 軍事独裁政権国家ビルマ(ミャンマー)は2011年3月、「民政移管」を果たした。この「ビルマ(ミャンマー)」新政権には、軍服を脱いで平服となった元軍政の幹部が多い(テインセイン大統領も元大将)。このビルマの変化は、その改革の内容に民意がほとんど反映されていない、いわば上からの改革である(それが国民に歓迎されているというのであれば、それを良しとすべきなのだろうが)。  2010年11月に自宅軟禁から「解放」された民主化運動家のアウンサンスーチー氏は、新しい政府のもと、自ら率いる「国民民主連盟(NLD)」の党首として2012年4月1日の議会の補欠選挙に当選し、現在は「国会議員」の立場である。そのスーチー氏は自らの国を、ビルマ語で「ミャンマー」と呼ぶが、英語では「ビルマ」と呼び続けている。
 ビルマ新政権は国際会議の場などで、他国の政府に対して、英語呼称をこれまでの〈ビルマ (Burma)〉でなく〈ミャンマー(Myanmar)〉と呼ぶように求めている。だが、果たして、「外国の報道機関」にまで敢えて英語の〈ミャンマー〉表記を求めているのだろうか。
 2012年1月末、新政権のテインセイン大統領に初の単独会見を行った初の外国の報道機関・米国の『ワシントン・ポスト』は、その報告記事の中で〈ミャンマー(Myanmar)〉を使わず、〈ビルマ(Burma)〉を使っている。
 〈ビルマ〉を使っている報道機関が、外国のメディアとして初めて、〈ビルマ〉の最高責任者にインタビューしたのである。各メディアが、自らが自らの判断として、どう報道するのかが、実は問われているのである。