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【パースエクスプレス・マガジン】貸し借りの金銭トラブルについて


 

日本とは社会の習慣やシステムが異なり、また言葉の違うオーストラリア。そこで起こった法的トラブル。パースの弁護士事務所の弁護士やプラクティス・マネージャーが毎月、ケーススタディで問題解決のアドバイスを提供する。
 

ケーススタディ 02

貸し借りの金銭トラブルについて

 

トラブル

 
「知人にお金を貸しました。お店の開業資金が足りないということで頼まれ、まとまったお金を貸しました。お店がオープンして軌道に乗ればすぐに返す、と言われましたが、オープンしてかれこれ経つのに返ってきません。どうしたらいいでしょうか?」
 

 

パースの弁護士事務所『Equitas Lawyers』からのアドバイス

 
「プライベートやビジネスでも、お金を貸した経験がある人は多いと思います。10ドルや20ドルが返ってこなくてもさほど問題になりませんが、金額が大きくなればなるほど、返してもらえないストレスは増大します。
 
まず、署名済みの借用書があったり、貸した証拠が揃っていたりしても、実は安心できません。借りた本人が返すつもりがないと、貸した側が時間と費用を費やして、返してもらうということになるからです。通常、最初は電話やメール、手紙などで催促になりますが、それで返ってくれば良いのですが、返ってこない時はどうしたらよいのか?
 
借用書があっても果たしてその借用書が法的な効力があるのか。実際、内容によっては効力がなく、戻ってこない可能性がある場合があります。更に法的な効力があっても、その効力にも期限がある場合もあり、期限切れのため裁判所への訴え自体ができず、結局戻ってこないなんてこともあります。
 
自分に非がないと思っている場合、直ぐに“裁判”や“訴える”ということが頭に浮かぶでしょう。ただ、裁判にもってゆくということ自体が、時間とお金がかかります。更に法律用語や、複雑な裁判所の手続きなど、よっぽど英語に自信がないと大変です。一度訴えを起こしたら、もう後には引けません。「お金が続かない」や「自信がなくなった」などの理由で訴えを取り下げると、貸したお金が戻って来ない上に、借りた側の弁護費用をも請求される恐れがあります。どんなに自分に非がなくても、裁判所を介入した訴えは、慎重に決定を下すことをお勧めします。
 
裁判という選択肢の前に、弁護士に相談し、借りた側へ催促の手紙を送ってもらうこともできます。貸した本人が手紙で「法的処置をとります」と脅すより、弁護士からの催促の手紙のほうが、あなたの本気度も伝わるかもしれません。それでも戻って来ない時は、弁護士と相談し、裁判を起こすことになるでしょう。但し、裁判に行く前に、裁判で勝つ可能性や、負けた時の費用や判決が出るまでの予想される支出などを聞いて、弁護士の意見や判例を参考にし、最終的には本人が裁判にもっていくかどうかの決定を下すことになります。
 
貸した金額が低い場合は簡易裁判所での決定となりますが、その場合は簡易裁判所が弁護士の介入を許さず、調停員を間に挟み、あくまでも当人同士で解決することを望みます。しかし、簡易裁判所での手続きなども英語が苦手な人には難しく、どのような段階を踏むのかなども分かりづらい点もあります。調停だけ自分で行き、後の申請手続きを弁護士に任せることも可能です。
 
最後に、貸すお金の金額にもよりますが、まずはお金を貸す時に借用書の作成などを弁護士に頼み、抵当や保証人などをつけることにより、戻ってこなかった時にリスクを極力抑えることが、一番望ましいでしょう」
 
 

私たちがお応えします。

パースの弁護士事務所『Equitas Lawyers』の弁護士や弁護士事務所プラクティス・マネージャー。

『Equitas Lawyers』
各分野の専門の弁護士が所属するパースの弁護士事務所。日本人が通訳として窓口になり、メールや電話も日本語で対応してくれる。

 

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