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Check 10 – Final 便検査について


 


ここでは、パースエクスプレス・マガジンで連載している『日本とオーストラリアのメディカルチェック』の2018年5月号の内容をお届けします。


 

慣れない環境だからこそ体調管理は大切になります。その際のメディカルチェック(医療検査)も臆さず受けたいところ。しかし、どんなチェックをされるのか…。日本との違いを参考に、オーストラリアのメディカルチェックを専門家が紹介します。第10回目は最終回の「便検査」のメディカルチェックについてです。

 

便検査について


今回は、健康診断では主に大腸がんのスクリーニング検査として行われる便検査についてお話しします。

便検査では、主に便潜血反応が大腸がんのスクリーニング検査として行われます。消化管に出血があると便に血が混じりますが、微量なら肉眼ではわかりません。そこで採取した便に試薬を混ぜ、その潜血反応をみる検査です。

たいていの肉眼で発見された血便では、真っ黒なタール便なら上部消化管からの出血で、多いのは胃や十二指腸潰瘍、次いで胃がんが疑われます。赤黒い色や真っ赤な鮮血であれば下部消化管からの出血で、痔が断然多いのですが、潰瘍性大腸炎やポリープも考えられます。

 

<便潜血反応が陽性と陰性>

 

便潜血反応が陽性の場合、消化管の潰瘍、がん、ポリープが疑われますが、血液の病気や消化管の感染症(腸チフスや赤痢など)による出血のほか、歯や鼻からの出血でも陽性となることがあります。

便潜血反応が陰性の場合、他の症状の有無にもよりますが、血液検査やさらなる精密検査が勧められます。日本では胃カメラや大腸カメラの前に健康診断の一環として、あるいは胃の精密検査としてバリウム透視レントゲンがよく行われていますが、オーストラリアではこれはほとんど行われていません。消化管の精密検査となると胃カメラ、大腸カメラがまず勧められます。

ただし早期の胃や大腸がんでは便潜血反応が陽性になることは少ないため、オーストラリアでは50歳になれば胃カメラや大腸カメラの検査を受けることが勧められています。ただしこれは自覚症状や既往歴、家族歴によって変わりますので、ドクターに相談しましょう。

また健康診断では特に調理関係の仕事に就かれている方には各種寄生虫やサルモネラやカンピロバクターなどの細菌などがいないかどうかの便による培養検査が行われることがあります。消化管の寄生虫や感染症は早期に発見すれば内服薬などでスムーズに治療できることがほとんどです。

 

今回でメディカルチェックのコーナーは最終回となります。日本とオーストアリアのメディカルチェックの違いを参考にしながらお届けしてきましたが、病気から学ぶことは早期発見、早期治療です。そのためにもメディカルチェックを怠らないで、これからも健康に毎日を過ごされてください。お届けした記事が読者皆さんのお役に立てていたら幸いです。
日本語医療センター 千綿真美

全10回分の検査(Check 01~10)の一覧はこちら

 

ご案内人 日本語医療センター マネージャー 千綿 真美さん

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