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Check 08 血液検査(尿酸値)について


 


ここでは、パースエクスプレス・マガジンで連載している『日本とオーストラリアのメディカルチェック』の2018年3月号の内容をお届けします。


 

慣れない環境だからこそ体調管理は大切になります。その際のメディカルチェック(医療検査)も臆さず受けたいところ。しかし、どんなチェックをされるのか…。日本との違いを参考に、オーストラリアのメディカルチェックを専門家が紹介します。第8回目は「血液検査(尿酸値)」のメディカルチェックについてです。
 

血液検査(尿酸値)について

  今回は、これもまた健康診断ではよく調べられる項目、“痛風”と関係している尿酸値(Uric Acid)についてお話しします。
 身体の中の細胞は毎日新しくつくられていく一方、古いものは壊れていきます。これが新陳代謝です。細胞の元になっている核酸の成分である「プリン体」がこの新陳代謝により古い細胞が死んでいく時に放出・分解され老廃物となったものが尿酸です。プリン体はその8割が元々身体の中でエネルギー源として、あるいは新陳代謝によって作られているものです。しかし細胞の中にあるものですから、残りの2割は他の動植物食品から摂取することで体内に取り込まれます。これらのプリン体は主に肝臓で分解され尿酸となり、尿酸は約7割が腎臓から尿中へ、残りは主に腸から便中へ排泄されます。

 

<血液検査で尿酸を測る>

尿酸は身体の中で常に一定量が作られ、排泄されています。このバランスが崩れて血液中の尿酸が増えた状態を“高尿酸血症”といい、これが長く続くと痛風、尿路結石、腎臓機能障害や高血圧を引き起こす原因となります。

●高尿酸血症(痛風など)
 血液中に増えた尿酸は溶けて排泄されない状態となり、尿酸結晶となって身体のあちこち、特に関節に付着するようになります。関節に積もって付着した結晶が、ストレスや激しい運動、暴飲暴食による急激な尿酸値の変化によって剥がれ落ち、炎症反応が起きたものが“痛風”で、激しい痛みを伴います。足の親指のつけ根は最も結晶が付着しやすい場所で、典型的な痛風の発生場所となっていますが、他の関節でも起こります。
 痛風はほとんど男性に起こるものです。女性は女性ホルモンの働きにより、男性より尿酸の排泄がいいので起こりにくいですが、閉経後の女性ではホルモンの働きが少なくなり、痛風になる女性もいます。

高尿酸血症の改善方法
 高尿酸血症の改善あるいは予防のためにプリン体を多く含む食事を避けることが必要です。プリン体を多く含む食材は動物の内臓や魚介類、肉類、白子や干物 (レバー、煮干やかつおぶし、エビ、イワシ、カツオなど)などです。アルコールはプリン体含有量自体はそれほど高くありませんが、ビールや紹興酒は含まれている方です。アルコールは尿酸の排泄を妨げるため、やはり飲み過ぎは控えなければなりません。
 高尿酸血症となった人では高コレステロールなどを併発していることが少なくありません。いわゆる生活習慣病でもありますので、肥満解消、定期的な運動、飲酒制限、バランスのとれた食生活と十分な睡眠など心がけて実行しましょう。

 

ご案内人 日本語医療センター マネージャー 千綿 真美さん

ご案内人 日本語医療センター マネージャー 千綿 真美さん

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