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速報!新グローリーの幕開けか?!太田宏介がチームを引っ張る!



【Image from Kayo Sports Screenshot】
 
雷によって試合開始時間が45分間ずれ込んだ。Fox Sportsの解説者によると「試合会場から9㎞以内で雷が起こっている場合は試合は行われないといったAリーグの規定がある。この夜は9.1㎞のところで起こっているので様子を伺いつつも試合決行の判断が下された」との説明がなされた。
 

<Aリーグを知る記者の視点 A League Football Journalist’s Point Of View>
今シーズン(A League 2020-21 Season)から、Aリーグを知る記者の視点から更に詳しくパースグローリーの試合についてお届けする。

 

2020-21シーズンAリーグ パースグローリー試合結果
Matchweek 15(2021年4月7日)
Sydney FC 1 – 0 Perth Glory 会場:Netstrata Jubilee Stadium

 
 
パースグローリーにとってはアウェイゲーム3連戦の2試合目となるSydeny FC戦。3試合前のホームでは、同相手に1-1の引き分けだった。この試合のグローリーのスターティングメンバーは、前節から3選手の交代。ただ、今までチームの顔として出場してた背番号17番のFWでキャプテン、Diego Castroと背番号88番のMF、Neil Kilkennyの姿はなかった。Castroは負傷が原因だが、Kilkennyは監督の采配でベンチスタート。いずれにしてもベテランの2選手がいないグローリーがどのような試合をするのか興味深いところでもあった。

前半の45分間は数字でも表れていたが、グローリーのテンポで試合は進んだ。特に背番号8番のSB、太田宏介と背番号20番のMF、Carlo Armientoで構成する左サイドからの攻撃が顕著で、相手にとっても脅威だった。背番号9番のFW、Bruno Fornaroliが下がってボールを受け、タメを作って左のスペースからの攻撃展開も上手く機能していた。

そして、CKを含めたプレースキックのほとんどを太田が任され、今までにない変化をチームに与えていた。

しかし、試合後のA League公式サイトにアップされたこの試合のダイジェストでは、グローリーの攻撃シーンは1回のみ。10分弱もある動画の中でグローリーがSydeny FCのゴールを脅かしている場面が1回だけだった。ただ前述通り、前半45分間のポゼッションはグローリーが52%でシドニーが48%、テリトリーポセッション(相手陣内でプレー)もグローリーが56%でシドニーが44%、CKもグローリーが2回でシドニーが1回とどれも上回った。

また、ファールもグローリーが7つに対してシドニーが9つ、イエローカードもパースが1つに対してシドニーが2つと、ファールでグローリーの攻撃を阻止した結果の数字もここに出ている。

そして、ペナルティエリア内の侵入回数もグロリーが13でシドニーの12と一つ上回り、ペナルティエリア内にボールをけり込む回数もグローリーの太田が4本と最多だった(試合を通して太田は8本を記録。グローリーで最多)。つまり、これらの数字はグローリーが前半の45分間は優勢に試合を運んでいたことを示している。

後半を含め試合全体のポゼッションは49%と51%とでひっくり返るが、テリトリーポセッションではグローリーが52%と上回った。しかし、この試合において両チームにおける大きな差が一つあった。それは、Sydney FCはゴール前にて幾度と決定機を作る。その決定機にグローリーのGK、背番号33番のLiam Reddyが懸命に堅守していた構図も併存していた。

そして、それらの均衡は54分(後半9分)にSydney FCのゴールで破れた。

スコアボードが動いた後は、追加点を狙うSydney FCと同点に追いつきたいグローリーといった力関係で時間が流れるも、グロリーは相手が嫌がる危険なゾーンへの侵入が減り、インテンシティにも欠け、結局この日は相手のゴールマウスをこじ開けるまでにはいかなかった。

試合時間の表示タイムが89分になり、Fox Sportsの解説者が「アディショナルタイムは4分となるだろう」とコメントした時、グランドの一部照明が消えた。雷の影響と審判が判断し、試合を止め、両チームの選手にピッチから出るように指示をした。審判団もコートの外に出て、試合のその後を協議。そして、すぐさま試合終了のホイッスルが鳴らされた。

両監督もまだプレー時間が残っていたのではと審判団に詰め寄るも、試合が45分以上が進行した後、雷などの理由で中断されてもその試合は成立するといった規定により、この試合はSydney FCに勝ち点3が渡った。

試合後の記者会見でパースグローリーの監督、Richard Garciaは「試合を最後まで決行させなかった理由を審判団から一切聞いていない」と不服を訴え、また試合中の一部ジャッジについても「納得のいくものではない」と不満をぶちまけた。しかし試合内容について、太田が牽引した若手選手で構成されたこの日のチームについては「良かった思う」と、一定の評価をしているといった言葉を残している。


(雷の影響もあり、試合後の選手へのインタビュー中にもスタジアムの照明が落ちた 【Image from Kayo Sports Screenshot】)

 

【太田宏介の3つの“初”】

 
<その1>
この試合、太田宏介の左腕には“初”めてキャプテンマークが巻かれた。太田にとってはAリーグ9試合目で、既にチームの指揮を執るよう監督から任されたことになる。

太田:「試合当日のウォーミングアップの前、ドレッシングルームで監督から指名されました。監督には“ミー(me)?”と聞き返してしまいましたが(笑)」


(このキャプテンマークがパースグローリーの新時代幕開け一歩となるか?! 【Image from Kayo Sports Screenshot】)
 
<その2>
前半18分にゴールまで約20mのFKで、太田は直接ゴールを狙った。日本代表でも次世代のフリーキッカーとして呼び声高かったほどの伝家の宝刀をAリーグで“初”めて抜いた。

太田:「けった感触もコースも悪くなかったですが、相手GKのポジショニングも良かったし、ボールのスピードがあまりなかったかもしれませんね。次、また機会があれば狙っていきます」


(「FKにはそこまで固執していない。またチャンスがあればけりますが…」と話す太田 【Image from Kayo Sports Screenshot】)
 
<その3>
前半18分のFKの直後、イエローカードをもらった太田。Aリーグでは“初”めてのこととなるが、太田は2011年にJリーグフェアプレー個人賞を受賞している。

太田:「あの場面ではカウンターを止める必要があったので、戦術的なタックルでした。それと、チームメイトに戦う姿勢を見せるためのプレーでもありました」


(相手チームの同僚選手から肩を掴まれそうになるも冷静に対処してその場を去る太田 【Image from Kayo Sports Screenshot】)

 
【試合結果】
Sydney FC 1 – 0 Perth Glory

得点:
<Sydney FC>
Kosta Barbarouses(54分)
 
 
文:今城康雄(いまなりやすお)。パースの日本語メディア「The Perth Express」の代表兼、編集長。2005年のAリーグの開幕以来、リーグ公認のメディアとなっている「The Perth Express」のジャーナリストとしても、パースグローリーのホームゲームはほぼ全試合、記者席より取材を重ねてきた。2020年よりパースグローリー日本地区担当マネージャー兼任。
 
 
【参考】
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関連(外部リンク):太田宏介オフィシャルインスタグラム
関連(外部リンク):太田宏介オフィシャルブログ
関連(外部リンク):太田宏介オフィシャルツイッター







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