パースエクスプレスVol.113 2007年6月号

「ビルマのムスリム」

 ビルマ全土を回りながら、訪れる地域で出会う人に必ず、「あなたは何人(民族)ですか?」と問いかけている。40〜135(人によって分類方法が異なる)にも及ぶ民族集団を抱えるこの国の、それぞれの民族意識・国家意識・宗教意識について知るためである。  パゴダ(仏塔/お寺)や市場で出会ったビルマ人は、「何人ですか?」という質問に、「バマー(ビルマ)人です」とか「ミャンマー人です」と答える。また、マンダレーでは「タヨウ(中国)です」「シャンル・ミョー(シャン人)です」という返事が返ってくることも多い。ところが答えの中で時に、「ムスリム」という返事をする人たちがいた。それは、旧首都ラングーン(ヤンゴン)、北部シャン州の州都タウンジー、南部タニンダリー管区/ビルマ最南端のコータンでのこと。これはキリスト教徒やヒンズー教徒からの返事ではあり得なかったことだ。
 
「ムスリム?ところで何人なの?」って後追いして聞くと、「パキスタン」「マレーシア」「インド」って返してくる。

 
ラングーン(ヤンゴン)のムスリム教徒は日に3度、モスクに集まりメッカに向う。−1

どうやら一部の人には、意識としては民族や出身国より先に「宗教」があるらしい。ちなみに、現在の軍事政権(SPDC=国家平和発展評議会)は1997年、軍事クーデターのイメージを払拭するため、その英語呼称を勝手に「ビルマ」から「ミャンマー」に変えた。現地の人は国名変更後しばらく、これまで通り、口語の「バマー(ビルマ人)」を使っていた。だがこの数年、「バマー」という口語の呼び方は減る傾向で、従来文語で使われていた「ミャンマー(人)」と呼ぶ人が増えてきた。
 

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