パースエクスプレスVol.113 2007年6月号

「ビルマのムスリム」

 ビルマの人口の9割近くは、仏教徒である。仏教といっても、日本とは異なる南方上座部仏教である。ビルマ仏教徒の男性は、一生に一度、必ず僧門に入る。軍事政権下のビルマであっても、仏教は社会である地位を保っており、移動の自由を制限されているビルマの人でも、参拝旅行には大手を振って行くことができる。また、各地を訪れるとまず、現地の人に「どこどこの有名なパゴダ(仏塔/お寺)にお参りしたか」とよく尋ねられる。  仏教徒の次に多いのが精霊信仰(アニミズム)。それにキリスト教徒、イスラム(ムスリム)教徒、ヒンズー教徒と続く。もっともこれらの宗教はそれぞれ5%にも満たない。

 ビルマは大きく分けて7州7管区あるが、そのうちチン州とカヤー州へは外国人の立ち入りは原則認められていない。後者のカヤー州は、未だに反武装抵抗勢力(KNPP=カレニー民族進歩党)が活動しており、ビルマで一番大きな発電所があるため、国防上の理由からの制限と説明されている。またこの2つの州は、人口の過半数がキリスト教徒のため、教会を中心に軍事政権に反対しているからだという。

 私自身、チン州のある村に滞在したとき、地元の軍の公安関係者から、3つの条件を言い渡された。

 

 

ラングーン(ヤンゴン)のムスリム教徒は日に3度、モスクに集まりメッカに向う。−2

「チン州に来たことをヤンゴンに戻って不必要に口外しない」「村から外に出ない」「教会には近寄らない(僧院は許可する)」と。
 カチン州のプータオ以北での外国人の立ち入りは、非常に制限されている。その理由の1つに、この地域では仏教の存在が薄く、ほとんどの人がキリスト教を信望しており、外国人の宣教師が立ち入るのを拒んでいる、との説明を受けた。また、ラングーン(ヤンゴン)の人がラカイン州に行く場合、それが仏教徒である場合は、問題ない。だが、ムスリム教徒である場合はチェックポイントを通過することができないという。反対にラカイン州のムスリム教徒がラングーン(ヤンゴン)に来る場合も、さまざまな口実で通行を妨げられるそうだ。

   

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