敗戦後の日本は、経済的には貧しいけれども、人びとの助け合いがまだあった時代。「日本人」の誇りを失い、うちひしがれていた社会にあって、明日は良くなるという希望のあった時代。平和を心底願って、必死になって働いていた時代。権威や権力に対して、ある意味純粋に拳を振り上げていた時代。世代によって、時代によって様々な日本があったはず。いくつもの不況や社会不安を抱えながらも、まだ明日があった時代。
3人には、異なった過去の記憶があるはず。なのに、同じような過去の記憶をもっている、という。
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これまで、人びとの社会意識を形成させてきたメディア−ラジオやテレビ、芸能や映画は日本の中だけで閉じていた。そんな時代が世代を超えて共同の幻想を作り出していったのだろうか。世界を一瞬にして結びつけるインターネット時代の現在では、想像できない閉じられた時代であったのだろう。
そこで、今の10代の日本の若者が、もし10年後、おそらくは変わっていないであろう軍事政権下のビルマを訪れた時、果たして「ああ、ビルマ(ミャンマー)って、昔の良かった日本を思い起こさせるんだよな」っていう印象を持つのだろうか(きっと)。
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