パースエクスプレスVol.107 2006年12月号

「世代を超えた『共同幻想』から」

  観光客としてビルマに入ることになると、現軍事政権に対してビザ申請をすることによって、その政権を間接的に正統なものとして認めることになる。さらに、観光客の落とすお金が、この軍事政権を財政的に支えてしまうことになる、というのだ。
  それゆえ、ビルマへの観光(客)をボイコットするように求めている民主化活動家たちもいる。スーチー氏も、ビルマを訪れるのは、今でなくても良いのではないか−民主国家が樹立されてからでも遅くはない。(財政的な基盤を強化してしまうと)軍事政権はますます政権を委譲しなくなってしまう、というような発言をしている。
  
もっとも、その一方で、観光客の支払うお金は、一般の人びとの収入に直接結びつくことが多い。そのため、厳しい財政状況で暮らしている市井の人びとの生活に役立っているという人もいる。スーチー氏の方針に異議を唱える活動家や人びとがいることも事実である。


  行くべきか、行かざるべきか。
  
判断は分かれるだろう。その答えを出すための基礎資料を“Lonely Planet”は11ページにわたって提示している。“Lonely Planet”は、基本的に、行った方がよい、というスタンスであるようだ。
  日本語のガイドブックだけを頼りにしている観光客は、そういった議論があることさえ知らずにビルマにやってくる。さらに、軍事政権国家だから怖いというイメージだけを持って入国してくる人が多い。軍の銃口は、決して外国人にではなく、自国民へ向けられているのに。
   

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