「『伝える』から『分かち合う』へ」

 だから、安定するために、ヒトはある時期を固定して、特定の考えに固執し、行動してしまうのだろう。もちろん、事柄によっては、変わらない過去、今、未来もあるだろう。それは認めよう。だが、何事も変わる方が自然なのだ。
 人間は変わるものだし、変わらないと決定付けられていたら、それこそ気がおかしくなりそうだ。あるいは、過去にこだわっているのは、自分が変わりたくない、という気持ちの裏返しでもあろう。そうこだわることによって、何かから目をそらそうとしているのだろう。
 例えば、人間の身体は毎日変わる。人間の一部である思想だけが変わらないなんてそれこそおかしい。身体は嘘はつかないし。

 1990年に初めて意識した、自分の子どもの頃を振り返った時に考えた基準と、今(2006年)考える、自分の子どもの頃を思い出して考えた基準には、違いがあって当然であろう。
 1990年当時の写真と最近の写真を見ながら、ゆらゆらと考えてみる。前者は、現場の経験を写真で「伝える」ということを強烈に意識している。後者は、自分の経験を写真で「分かち合う」という感じがする。写真を見る人にとっては、それほど大きな違いはないかも知れないが、自分にとっては大きな違いがある。その違いが分かる人は、同じような意識のシフトを意識的に経験をした人かもしれない。

 


This site is developed and maintained by The Perth Express. A.C.N. 058 608 281
Copyright (c) The Perth Express. All Reserved.