「値段交渉」

 男達は、欧米の侵略者の的になってきたからだ。気軽にエキゾチックさを味わうことができ、かつ物価の安い国だから海外旅行にはもってこい。

  だが、この国には500年以上前にスペインから侵略されて以来、いまだに負の歴史が続いている。約20万人の犠牲者を出した内戦が終わったのは96年の12月のこと。

メキシコ国境が近いウエウエテナンゴ県を訪れた94年春、市場で野菜売りのインディヘナのおばさんと話をした。

  「この国も戦争が終わりですね。それで、今一番、つらいことって何ですか」
  「市場でね、値切られるのがつらいんですよ」
  貧乏旅行とはいえ、私は彼女達の何十倍のお金を持って移動している。取材費を切りつめるとはいえ、言い値を値切る癖も付いている。また、観光客は自らの娯楽のために値段交渉にのぞむ。別に買わなくってもいい、その場のゲームを楽しむこともある。インディヘナの女性達は、1Qのために、今も観光客を相手にする。

 

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