「・・・ったく」  

 目の前は日本海。鉛色の空と海が広がる。海岸に近い島根中学校で、短時間のビルマ報告を終えた。さあ、帰ろう。2月9日の昼過ぎ、岡山行きの特急列車「やくも」を待つ。駅のプラットフォームには、冷たい風が吹きつける。ちょうど3時間ほど前、雹(ひょう)がパタパタと降っていた。 列車到着の10分ほど前、「1列D席」という指定座席の番号を確認しようとポケットに手を突っ込んだ。あれ?、乗車券がない。いつも切符を入れる、ジャケットの右上のポケットをまさぐる。が、やっぱりない。他のポケットの中も探す。が、ない。ズボンのポケットかな。ここも・・・、ない。もしかして、財布の中に。ない。もしかして、カバンの中に? だが、ない。・・・ったく(あきれて、ため息も出ないなあ)。

 切符を買った控え(クレジットカードで購入)を持っているから何とかなるだろう。駅の改札に戻り、ドキドキしながら相談してみる。切符売り場の責任者は、事務的な口調で返事する 。


 「どうしようもないねぇ〜。控えだけじゃあ。列車はもう来るなあ。時間がないね。とりあえず列車に乗って、中で車掌さんに相談して。たぶん、新しい切符を買ってもらうことになるよ。もちろん、無くした切符が出てきたら、後日、払い戻しを受けることができるからね。」 でも、もし、切符が出てこなかったなら。5670円を2度払いか。・・・ったく。

 

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