「スーチー…(前編)」

 裁判所で一つの判決が言い渡された。スーチー氏の家の所有権を巡り、氏と甥との間にトラブルがあった。甥がスーチー氏に暴力を振るい、裁判沙汰までなった。KHから電話があったのは、そのトラブルに判決が下りた日だった。判決は、甥側に1000K(チャット=ビルマの貨幣単位)の罰金、もしくは拘留という結果だった。しかし、被害者であるスーチー氏側に対しても500Kを払うか、あるいは1週間の拘留か、という判決だった。KHによると、この両成敗的な判決は、軍政権(SPDC=国家平和発展協議会)の裁判所への圧力による、スーチー氏に対する嫌がらせだそうだ。
  裁判そのものが公平でないと主張するスーチー氏側は、500Kを払うよりも1週間の拘留を選んだ。

現地で500Kというのは、町の食堂で、焼きめしを食べるくらいの額である。判事の方も、まあこのくらいならスーチー氏は払うだろうと思ったようだ。しかし、スーチー氏は、刑の量刑よりも裁判のやり方に異議を唱えたのだ。スーチー氏が拘留されることになれば、それは国際社会にまた大きな反響を与える。 スーチー氏は昨年5月、2度目の自宅軟禁から解放されたばかり。彼女は自由の身になって以来、各地方都市に作られたNLD(国民民主連盟・スーチー氏は党書記長)党のオフィスを精力的に訪問していた。国内外共に、軍政と民主化勢力との対話を感じ始めていた時期だ。そんな時にこの判決。和平の雪解け機運のムードに水を差すかも知れない。裁判所は困った。スーチー氏を拘留してしまうと、ビルマ国内の司法制度の不公正さを指摘されるのは目に見えている。

   


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