「心に刻まれた地震の記憶」

 ドンと突き上げられる衝撃で飛び起きた。昨年10月5日早朝、神戸の自宅でのこと。14階建ての最上階の部屋は、ゆらりゆらりと揺れている。目は覚めたものの、布団の上に座り込んだまま、一瞬意識が飛んでしまった。すぐに、トルコでの倒壊した建物を思い出し、死臭の蔓延する瓦礫の記憶がよみがえってきた。その恐怖の記憶は、5年前に起こった阪神大震災と同じであった。
 99年8月17日午前3時1分、トルコ北西部が45秒間、激しく揺れた。この地震による被害は、確認されただけで死者約1万5500人、負傷者約2万5000人以上、被災者約20万人、倒壊家屋2万棟あまり。今をもっても犠牲者の数は確定できないままでいる。
 地震発生から3日目、生存者の救出にあきらめの声が出始める頃、現地入りした。


かつてはおしゃれな高層住宅だったであろう建物は今、コンクリート片の瓦礫の山と化している。被害が大きくなったのは、地震そのものの規模が大きかったという面もあるが、それ以上に違法建築のための建物倒壊、地震直後の救出活動の不手際という「人災的」な側面も強い。 手抜き工事で倒壊したと非難されている建物の多くは、無惨な姿をさらしている。ぐにゃりと曲がった鉄筋はむき出しになり、複雑に絡み合っている。
 


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