興奮状態が収まっていない被災者たちも多い。16歳の息子を失ったジェイラン・ケントさんは、私に喰ってかからんばかりに訴えた。「あの建築業者が造った建物が倒れた。神の罰を!みんなに知らせてやってくれ、あの業者の名前を…」。私に一体何ができるのだろうか。
写真撮影のため、瓦礫の山の上に登る機会が多くあった。犠牲者の数は、日を追って確実に増えていく。発見されることなく、倒壊した建物の下敷きになったままの犠牲者は、1万5000人を越えている。私の足の下にも、誰かいたのかも知れない。今考えても、身が縮み上がる思いだ。
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コンクリート片から突き出た鉄筋の1本を握ってみた。ひんやりとした感触。曲げようと力を入れたが、人間の力では曲げようのないほど固かった。触わっただけでボロボロと崩れるコンクリートとは対照的だ。
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