Japan Australia Information Link Media パースエクスプレス

フォトジャーナリスト宇田有三氏による衝撃ルポ

On The Road by.Yuzo Uda
Vol.174/2012/7

「『ビルマ(ミャンマー)』から『沖縄』へ」


 ビルマ(ミャンマー)を初めて訪れたのが1993年5月だから、今年5月でビルマ取材は20年目に突入した。ほんと、あっという間に19年が過ぎ去った。知り合いと冗談で言い合っていたのだが、気が付かないうちに自分の頭に白いものが目立ってきた。
 ビルマでは昨年、形の上で軍事独裁政権に終止符を打ち、「民政移管」を果たした。また、15年以上も自宅軟禁に置かれていた民主化指導者のアウンサンスーチーさんが、ほぼ自由に活動できるようになったため、日本でも一時期ビルマに関する報道が増えた。
 ビルマに関わってきた私も、この国における変化の実相を各地で説明する機会が増えた。だがその際、やはりというか、予想通りというか、ビルマに関する基本的な情報が伝わっていないことに改めて気付かされてしまうのだ。
 ビルマの歴史や文化がキチンと伝わっていない。それだけではない。ビルマという国がどこに位置しているのか、それもまた不確かだったのである。


ビルマ最北の村タフンダン(Tahaundam)


 6年前、ビルマ最北の村タフンダン(Tahaundam)を訪れたことがある。写真の通り、タフンダンには雪山が迫っている。南国(熱帯)ビルマでも雪が降るのか!   そう驚く人が多い。南方に位置するといっても、ビルマの北はチベット高原の東の端に位置し、ヒマラヤ山脈に連なる。北ビルマでは、山深く深緑の森が延々と続く。