プノンペン市内に保存されている「トゥールスレン虐殺博物館」や郊外の通称「キリングフィールド」に行ってみた。噂で聞いていたとおり、犠牲者の髑髏で作ったカンボジアの地図が飾られていた。数え切れない髑髏が陳列されていた。作り物ではない、本物の髑髏である。そのいくつかにそっと触ってみた。何も語ることのできない「しゃれこうべ」だ。男か女か、老人か若者かも分からない。
 彼らは物言わぬ証人だ。
キリングフィールドでは、米国人の文化人類学者が顎の骨を天日の下で調査をしていた。クメール人のあごの骨やアジア人のあごの骨の調査だという。「研究対象には事欠かない」とは、正直なコメントだった。

  しかし、である、そこに飾られている無数の「しゃれこうべ」は、死後もまた強制的に歴史の証言台に立たされている。彼らの意志に反して、政治に、研究に利用されているのである。作り物ではない本物の人骨ゆえにその証言はあまりにも強烈である。その強烈さを利用されているのである。本当に本物の髑髏が必要なのか、でも、それが本物ゆえに、見る者に深く考えさせるのだから仕方ないのか。答えの出ないジレンマを感じてしまう。

   


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