今回取り上げた写真は、自分の目に映った「あっ」と思った瞬間の姿を写し撮ったものである。だがそれは、あくまでも外側の姿を切り取ったものにすぎない。もちろん、そうであっても、カメラを構えた自分としては、なんとかして彼ら彼女たちの心の中までも写真によって表現しようとした場面でもある。もっとも、たとえそれが無理な試みであっても、信じる対象や教義の異なる『宗教』の写真を見比べることによって、この人たちがそれぞれ心の奥深くに何かを持っているのだ、と表現できるのではないかと自分勝手に苦心するのである。
さらに思えば、いわゆる『無宗教』の私が、手を合わせる人を前にして自分の心の中に感じる事柄と、信仰心を持つ人が他の『宗教』を見る際に感じる事柄は、果たして似たようなものなのか、それとも全く異なるものなのだろうか。人それぞれの、目には見えない心の中をのぞいてみたい気がするのである。
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軍事政権の迫害からビルマからバングラデシュに避難民として逃げ出したムスリムの人びと。最低限の衣食住さえ確保されない時でさえ、祈りの習慣を欠かすことはない。仏教やキリスト教に比べて、ムスリムの信仰心はとりわけ強いように感じた。
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