Vol..149/2010/6
「ビルマの暑い日々」

 今年の夏は、異様に暑かった。もちろん、日本ではなく取材先のビルマ(ミャンマー)での話である。 東南アジアの西端に位置するビルマの季節は、5月〜10月の雨期と11月〜4月の乾期に大別される。もう少し細かく分けると、雨期と乾期の間である3月〜5月は、暑期となる。 ビルマ最大の都市であるラングーン(ヤンゴン)の4月は連日、気温が45度近くまで上昇し、陰のない炎天下の道路を歩くのは、苦しささえ覚えていた。今年の暑期は40年ぶりの酷暑となり、そのため数百人もの人が命を落としたとも報道された。もちろん、ビルマは軍事政権国家のため、その詳細は明らかにされないままである。

  地元ビルマ人や外国人を問わず、旧首都ラングーンの観光といえば、金ぴかに輝くシュエダゴン・パゴダ(仏塔)を訪問することである。だが、今年はそんな暑さのため、直射日光で熱せられた石畳の上を歩いている人は、ほとんど見かけることはなかった。

  シュエダゴン・パゴダに人影が見えない光景を目の前にすると、2007年9月の民主化デモのことを思い出す。そう、あれは19年ぶりにビルマの人びとが軍部に抗議の声を上げ、軍の兵士が市中に警戒態勢を敷いた事件であった。

 


 


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