Vol..137/2009/6
「ジャーナリズムが存在する限り」(再・上)

 米国東部ボストンに滞在中の1997年9月、ジェームズ・ナックウェイ氏の写真展に足を運んだ。ナックウェイ氏は現在、世界で最も優れているフォトジャーナリストの1人との評価を受けている。彼の写したイメージを、ひとつひとつじっくりと見た。身体と頭が熱くなる。何かに感動して身体が熱くなったのは初めての経験だった。9月ともなると、ボストンは寒い季節。写真展の会場の外の空気は冷たい。帰り道、体が火照った私は、上着とシャツを脱いで半袖になってしまった。道行く人が私を振り返っていた。私は感動していた。こんな写真が撮れるのか、と。その時、写真の持つ力を感じた。
 ナックウェイ氏は、「私たちは世界を変える力がある」と言い切る。彼の写真は私に、写真を撮ることの自信を与えてくれた。写真は人を感動させることができると証明してくれた。彼の言う、「世界を変える」とは、具体的には何を指すか分からないが、最低限、彼の写真は私を動かした。

 
仏教遺跡の最高峰ともいえるカンボジアのアンコールワット。この遺跡の前に立つまでは、それほど大したことはない建物だと思っていた。だが、いざ、威風堂々の歴史的な建築群の前に立つと、その深さに言葉がでなかった。

   


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